テミロフの再陽性情報に公式根拠なし Xで拡散した「18カ月停止」を検証

現地時間2026年7月25日、アラブ首長国連邦・アブダビのエティハド・アリーナで「UFCファイトナイト・アブダビ」が開催された。
コーメインイベントのフライ級戦では、ラマザン・テミロフ(Ramazan Temirov)が元UFC世界王座挑戦者のスティーヴ・エルセグ(Steve Erceg)と対戦。
1ラウンド4分21秒、KO勝ちを収め、UFC参戦後の戦績を3戦全勝とした。
UFC公式記録でも、現時点でテミロフの勝利として掲載されている。
その後、X上で「テミロフが試合後のドーピング検査に失敗した」と主張する投稿が拡散した。
投稿には、禁止物質のトリメタジジンが再び検出され、18カ月の資格停止処分に直面しているほか、エルセグ戦の結果も無効試合へ変更される可能性があると記されている。
しかし、この投稿を行ったのはUFCや、UFCの反ドーピングプログラムを管理するCombat Sports Anti-Doping(CSAD)の公式アカウントではない。
投稿内にも、検査結果や処分を裏付ける公式文書へのリンクは示されていない。
結論:再陽性と18カ月停止を裏付ける公式発表はない
2026年7月28日時点で、UFCおよびCSADから、テミロフがUFCアブダビ大会後の検査で陽性となったとの発表は出ていない。
CSADの公式発表一覧を確認しても、テミロフに関する新たな違反や資格停止処分は掲載されていない。
UFC反ドーピングプログラムの公式記録で確認できるテミロフの処分は、2025年10月1日に発表された12カ月の資格停止となっている。
また、UFC公式の試合結果とテミロフの選手ページでは、エルセグ戦は現在もテミロフのKO勝ちとして記録されており、無効試合への変更は確認できない。
このため、Xで拡散した「再びトリメタジジンが検出された」「18カ月の資格停止に直面している」「エルセグ戦が無効試合になる可能性がある」という情報には、現時点で公式な裏付けがない。
過去のドーピング違反は事実
一方、テミロフが過去にトリメタジジンの陽性反応によって処分を受けたこと自体は事実だ。
CSADによると、2025年6月12日と7月4日にタイ・プーケットで採取された競技外検査の検体から、トリメタジジンが検出された。
テミロフには最初の検体の結果が通知される前に2回目の検体が採取されていたため、2件の陽性反応は一つの違反として扱われた。
資格停止期間は2025年7月5日から12カ月間で、2026年7月5日に終了した。
テミロフは処分期間の終了後にUFCアブダビ大会へ出場しており、エルセグ戦は2025年3月以来、約1年4カ月ぶりの復帰戦だった。
今回の投稿は、実際にあった過去の違反と同じ禁止物質名を使い、「再び陽性となった」と主張している。
過去の事実に公式確認の取れていない情報が組み合わされたことで、事実であるかのように受け取られ、拡散した可能性がある。
検査履歴では2026年に3回
UFC反ドーピングプログラムが公開する検査履歴では、2026年7月24日の最終更新時点で、テミロフの検査セッション数は3回となっている。
ただし、このページで公開されているのは選手ごとの検査回数だけであり、採取日、検体の種類、個別の検査結果までは記載されていない。
データの更新はエルセグ戦の前日であるため、3回の中に試合後の検査が含まれているかどうかも確認できない。
3回検査を受けたことから、すべての検査が陰性だったと断定することも、エルセグ戦後の検査で陽性だったと判断することもできない。
今後、検査結果や処分に関する正式な発表が行われる可能性まで否定することはできないが、少なくとも2026年7月28日時点で、18カ月の資格停止に直面していると判断できる公式な根拠はない。
https://ufcantidoping.com/tests
現時点では事実として扱えない
今回確認できた公式記録を整理すると、テミロフが2025年にトリメタジジンで12カ月の資格停止処分を受けたことは事実であり、その処分は2026年7月5日に終了している。
一方、UFCアブダビ大会後に再び陽性となったこと、新たに18カ月の資格停止処分を受ける可能性があること、エルセグ戦が無効試合へ変更されることについては、UFCおよびCSADから発表されていない。
したがって、Xで拡散した投稿は、2026年7月28日時点では事実として扱うことのできない情報となる。
過去にドーピング違反があった選手に関する情報は信じられやすいが、処分の有無を判断する際には、個人アカウントの投稿だけでなく、UFCとCSADの公式発表を確認する必要がある。
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