RIZINはなぜU-NEXTで見られなくなるのか ABEMA提携で置き去りになったファンへの説明

RIZINは、9月10日に開催される「超RIZIN.5」からABEMAを公式メディアパートナーとすることを発表した。
ABEMAでは大会のPPV配信だけでなく、大会前後の特別コンテンツ、期間限定の「RIZINチャンネル」、次世代選手を発掘する「超強者発掘プロジェクト」などを展開していく。
ABEMAがこれまで以上にRIZINへ力を入れること自体は、決して悪い話ではない。
しかし、今回の発表には一つ大きな疑問が残る。
では、なぜU-NEXTでのRIZIN配信は終了するのか。
ABEMAを選んだ理由については一定の説明がされている。
一方で、U-NEXTでRIZINを見てきたファンに対して、なぜそこでの配信が終わるのかについては、十分な説明がされたとは言い難い。
U-NEXTは単なる「PPVを買う場所」ではなかった
今回の変更を、単なる配信サービスの切り替えとして考えるべきではない。
RIZINをU-NEXTで見てきたファンにとって、そこはPPVを購入して試合を見るだけの場所ではなかった。
大会前には関連番組を見る。
大会当日は通常の実況に加えて裏トークを楽しむ。
大会後には関連コンテンツを見ながら振り返る。
直近のRIZIN.54でも、U-NEXTは通常配信とは別に裏トークチャンネルを用意し、関連するプレゼント企画も実施していた。
つまりU-NEXTは、大会当日の数時間だけではなく、大会前から大会後までRIZINを楽しむ観戦体験の一部になっていた。
何年もRIZINを追ってきたファンにとって、それは単なる機能やサービスではない。
そこでRIZINを見てきた時間そのものだ。
しかもRIZIN.54が開催された翌日に、ABEMAとの新たな提携が発表された。
文字通り昨日までU-NEXTと一緒に大会を盛り上げていたにもかかわらず、次の大会から視聴環境が変わることになった。
企業同士の契約が変わること自体は珍しくない。
しかし、契約先は切り替えられても、ファンが積み重ねてきた観戦体験まで一日で切り替えられるわけではない。
「気持ちよく乗り換えて」だけでは疑問は消えない
榊原信行CEOは今回の発表で、U-NEXTを利用してきたファンについて、ABEMAへ「気持ちよく乗り換えていただきたい」と話している。
さらにABEMAとの提携によって事前PR番組を含むコンテンツを充実させ、RIZINをさらに広げていきたいという趣旨の説明もしている。
その考え方自体は理解できる。
ABEMAには格闘技コンテンツを制作してきた実績があり、無料番組などを通して、これまでRIZINに触れてこなかった層へ届けられる可能性もある。
ただ、それとU-NEXTでの配信が終了することは別の問題だ。
榊原CEOは発表直後、「ABEMAだけでPPVを配信する」と説明したものの、その後、RIZIN 100 CLUB、RIZIN LIVE、スカパー!では従来通り配信すると訂正している。
つまり、ABEMAが公式メディアパートナーになったからといって、ABEMA以外で配信できなくなるわけではない。
ファンから不満が出るのは当然ではないか
今回の発表後、U-NEXTでRIZINを視聴してきたファンから不満の声が上がった。
これは単純な「ABEMAが嫌い」という話ではないだろう。
ファンが惜しんでいるのはアプリのロゴではない。
そこで過ごしてきたRIZINとの時間だ。
それぞれに観戦スタイルが出来上がっていたからこそ、突然の変更に反発が生まれている。
ファン心理を重視してきたRIZINだからこそ違和感がある
そして、今回最も違和感があるのはここだ。
RIZINは、純粋に選手の強さや戦績だけを追い求めてきた格闘技団体ではない。
もちろん実力は重要だ。
しかし同時に、選手のキャラクター、人気、知名度、話題性、因縁、そしてファンが「この選手を見たい」と思うかどうかを大切にしてきた。
必ずしも戦績だけでは説明できないカードが大きな舞台で組まれることもある。
SNSでの発言。
会見でのやり取り。
選手同士の因縁。
試合までの物語。
そうしたものも含めてファンの感情を動かし、大会を大きくしてきた。
良くも悪くも、それがRIZINという興行の大きな特徴だった。
つまりRIZINは、ファンが誰を見たいのか、誰を応援したいのか、何に感情を動かされるのかを非常に重視してきた団体でもある。
ファンの感情を興行の大きな力にしてきた団体だからこそ、こうした時にもその感情を置き去りにしてほしくない。
ファンは都合よく移動する数字ではない
今回、ABEMAが批判される必要はない。
ABEMAはRIZINというコンテンツに価値を感じ、公式メディアパートナーとなり、さまざまな企画を展開すると発表した。
ファンは、配信先が変わったと通知されれば、そのまま次のサービスへ移動してくれる数字ではない。
大会前から情報を追い、カードについて考え、PPVを購入し、試合を見て、大会が終われば感想を語る。
そうやって一つ一つの大会を積み重ねてきた。
U-NEXTも、その時間の中にあった。
企業同士の契約は変えられる。
繰り返しになるが、そこでファンが積み重ねてきた体験まで簡単に切り替えられるわけではない。
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